Q. 子どもの矯正で、インビザラインファーストとティーンのどちらになりますか?
A. 残っている乳歯の本数と、永久歯の大きさ・生える方向を確認して判断します。
10歳までのお子さまの場合はファーストに該当することが多いのですが、年齢のみでは決められません。
当院では、乳歯の残存数・歯の大きさ・萌出(ほうしゅつ:生えてくること)の方向・現在のスペース量を総合的に評価して適切なプランを決定します。
【1】ファーストとティーンの違い
ファーストは「混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)」を対象としたプランで、
ティーンは「ほとんどの永久歯がそろい、最終的な噛み合わせまで設計できる状態」を前提としたプランです。
【2】有効期間
- インビザラインファースト:2年間(期間内ならアライナーを何度でも再設計・再作製可能)
- インビザラインティーン:5年間
【3】ファーストで対応できる範囲
ファーストの2年間では、成長に合わせて永久歯の誘導と位置の調整が行えます。
ただし以下の場合はインビザラインセカンドフェーズに移行する可能性があります。この場合は、最初からインビザラインティーンを選択した方が費用は安くなります。
- 永久歯が大きく、スペースが足りない場合
- 親知らずの存在により、7番目の歯(第二大臼歯)が傾いて生えるリスクがある場合
- 2年間の範囲では、最終的な噛み合わせまで到達しないと判断される場合
【4】ファースト終了後の流れ
ファースト終了後は、保定装置で位置を維持しながら経過観察を行います。
永久歯がすべて生えそろった時点で、後期治療(仕上げの矯正:インビザラインセカンドフェーズ)が必要かどうかを判断します。
【5】当院の診断方針
当院では、成長を活かせる時期にはその力を的確に利用し、
セファロ分析・CT診断をもとに骨格と噛む力のバランスを評価した上で設計しています。
不必要な抜歯や、将来の噛み合わせに負担の残る設計は行いません。
まずは診査資料(セファロ・口腔内写真・模型)をそろえることで、お子さまの歯列に適したプランを正確にお伝えできます。
部分矯正で完了できるケースにはどのようなものがあるのか
部分矯正とは、歯列全体ではなく、限られた歯のみを対象に行う矯正治療です。
ただし、「前歯だけ気になる」「短期間で終えたい」という希望だけで成立する治療ではありません。
私たちが判断の軸にしているのは、その問題が医学的に“部分的なズレ”として完結するかどうかです。
以下に示す条件を満たす場合に限り、部分矯正で治療を完了できる可能性があります。
前提条件:奥歯の噛み合わせが安定していること
部分矯正が成立するための最重要条件は、
奥歯の噛み合わせがすでに完成しており、機能的に問題がないことです。
前歯の位置は、奥歯の噛み合わせと歯列全体のバランスによって決まります。
奥歯にズレや不安定さがある場合、前歯だけを対象にした治療では、長期的な安定は得られません。
部分矯正で完了できる代表的なケース
1.過去の矯正治療後の軽度な後戻り
すでに全体矯正を受けた既往があり、保定期間中の影響などで生じたわずかなズレ。
歯の根の位置や噛み合わせに大きな変化がなく、微調整で対応できる場合は、部分矯正の良い適応となります。
2.1本のみの軽度な傾きや回転
前歯のうち1本だけに限局した傾きやねじれが見られるケース。
周囲の歯並び、スペース配分、噛み合わせに問題がなければ、局所的な矯正で対応可能です。
3.歯根移動を必要としない、ごく小さなスキマ
1mm未満の小さなスキマで、歯の角度や位置関係が良好な場合。
ただし、スキマの原因が歯列全体や奥歯の位置に由来していないことが前提となります。
部分矯正が成立しにくいケース
- スキマを閉じるために奥歯の位置調整が必要な場合
- 噛み合わせ全体に修正が必要な場合
- 歯を根から平行に動かす設計(歯体移動)が求められる場合
- 骨格や成長の影響が関与している場合
特にスキマを閉じる治療では、前歯だけを動かす設計では不安定になりやすいことが多く、
奥歯を含めた全体設計が必要になるケースが少なくありません。
当院での判断方法
当院では、部分矯正が可能かどうかを見た目だけで判断することはありません。
- 成長期:セファロ分析による骨格と歯の位置評価
- 成人:CTによる三次元診断で歯根と骨内位置を確認
- 噛み合わせの評価:奥歯が機能的に成立しているかを確認
そのうえで、部分矯正で医学的に完結できるかどうかを判断し、
成立しない場合には無理に部分矯正を勧めることはありません。
部分矯正は「簡単な矯正」ではなく、
条件がそろった場合にのみ選択できる、限定的な治療です。
私たちは、治療後も長期的に安定して機能することを最優先に考えています。