混合歯列(乳歯と永久歯がまざる時期)の矯正では、使う装置によって治療の流れも費用も大きく変わります。当院では、それぞれのご家庭の希望や負担に合わせて、現実的な選択肢をご説明しています。
まず、Invisalign First(ファースト)は“しっかり仕上げたい方向け”の装置です。小学生の成長を活かして土台から広がりやすく、短期間で良い変化が出やすいという大きな利点があります。
ただし、ファーストは治療期間が決まっており延長ができません。永久歯に交換した後に、インビザライン Second(2nd)で仕上げる前提のシステムです。つまり、“確実に仕上げたいご家庭向けのコース(=合計費用は高め)”になります。
一方で、実際には「前期治療だけで、ある程度きれいになれば十分」というご家庭も多いのが現状です。費用面を重視される方にとっては、ファーストはどうしても高額になりやすいため、従来型の装置を選ばれるケースが多くなります。
従来型の取り外し式・固定式の装置は期限がなく、追加費用もインビザラインほど高額ではありません。そのため、前期治療を長めに続けて、後期治療(ワイヤーやインビザライン)を避けながら、“そこそこ良い歯並び”を目指すことができるケースも多いのです。
これは「治療を引きのばす」のではなく、“安価な装置でできるところまで整える”という、ご家庭の希望に寄り添った現実的な選択肢です。
なぜ従来型装置だと前期治療を延長できるのか
従来型の装置には次のような特徴があります。
- 必要な時期に、装置を追加できる
- 期限がないので、歯の交換まで見守れる
- インビザラインより安価で始めやすい
この特徴を活かすことで、費用を抑えながら後期治療へ進まないように前期治療を延長して対応することが可能になります。
前期治療で使う装置はシンプルで、追加装置も複雑ではありません。身体的負担も軽く、経済的にも無理のない範囲で進められます。
どんなケースで従来型が向いているのか
- とにかく費用を抑えたい
- できれば後期治療に進みたくない
- 「そこそこきれい」になれば十分
- 成長の力を使って自然に誘導したい
ファーストでは延長ができない理由
Invisalign First は、治療計画や装置数があらかじめ決められているため、メーカー仕様として延長ができません。必要に応じて調整しながら柔軟に続ける従来型とは仕組みが異なります。
ファーストは“確実に仕上げる”ためのコースであり、費用・期間がはっきりしている反面、柔軟性は低いという点が特徴です。
しかし、歯の大きさが大きくないケースでは、高性能のインビザラインファーストで、できるだけ整えて、後は運に任せた結果、良い結果で終了できた方も、まあまあいらっしゃるのも事実です。
それに、どうしても後期治療が必要となった時には、ファーストを選択しとけば、後期治療用としてインビザライン 2nd フェーズが使えるので合計金額は圧倒的に少なくなります。 個人的には、2025年の8月からインビザラインファーストは2年に延長されたので、2025年の11月時点では、インビザラインファーストの方がオトクだと思います。「いつまで続くの?」という疑問について
前期治療の延長は、ただ長く続けるのではなく、歯の交換が落ち着くまで見守ることで、後期治療を回避できる可能性を高めるために行うものです。
もちろん、全てのお子さまで後期治療を避けられるわけではありません。しかし、費用を抑えたいご家庭にとって、従来型装置で前期治療を延長するという方法は、現実的で負担の少ない選択肢となります。