前歯だけ、なんとかならない?

目次

前歯だけ、なんとかならない?──設計の視点で考えます

バスの入り口付近が混み合っている場合、解決方法は、お客さんに一歩ずつ奥に移動してもらうことが重要です。

前歯が混み合っている場合も同じです。

入口付近だけが混むと奥からの流れが滞るイメージ図
奥側(臼歯)の配置が前方に影響するイメージ図

1. セラミックで前歯だけ見た目を変えると…?

セラミック(被せ物)で、前方の見え方を短期に変える方法もあります。

前歯部の被せ物による審美処置のイメージ

ただし、元の歯の切削や適合・経年変化・脱離リスクなど、長期の視点での検討が不可欠です。補綴単独で前方の見え方だけを変えると、奥側(臼歯)の配置やかみ合わせとの整合が課題になる場合があります。

補綴後の管理イメージ

2. 前歯の幅を多量に削って狭める設計?

下の動画では、前歯の間に警告(赤アラート)が多く出ている状態で、幅の調整(IPR)だけで前方の見え方を整えるシミュレーションが示されています。
ただし、大きな量のIPRを前方だけで負担する設計は、歯質の保全・長期安定・見えないリスクの観点から慎重な判断が必要です。

次の動画では、1mm近いIPRが想定される場面が登場します。
単独の前歯域だけでスペースを作るのではなく、臼歯域の関係・アーチ全体の設計を含めて検討することが大切です。

当院の方針として、歯質を大きく失う前方単独の調整は、長期の安定・歯の健康・審美の持続性の観点から推奨しにくい場合があります。
個々の骨条件・歯列弓の形・歯冠幅径のバランスを見極め、無理のない設計をご提案します。

「では前歯は削らずに、上の前歯の角度だけ変えれば?」

3. 上の前歯の角度だけを変えると?

前方の角度だけで調整すると、歯根の位置が骨の安全域を外れやすい(骨からの露出・歯頸部の変色・歯根短縮などを助長しうる)リスクが考えられます。
こうしたリスクは、CTなどの立体診断がないと見落とされやすい領域です。

https://youtu.be/WuHVy9bshGU ※症例差が大きいため、個別の骨条件をCTで確認して判断します。


「うまい話」には前提と注意点があります

No such thing as a free lunch.

下顎前方部への美容的介入(充填物・インプラント型の人工物など)を希望される方もいますが、
将来的な変化やメンテナンスの負担を考えると、適応は慎重であるべきと考えます。
当院では、将来に不利益が残る可能性のある処置は原則として採用しません


当院の設計方針

CTを併用したインビザライン(デジタル設計)を基本に、

  • スキャン+CTで骨の範囲(安全域)を前提に配置を設計
  • アーチ全体のバランス(臼歯域の関係を含む)を重視
  • IPRは最小限(一部位あたり0.5mm以下を目安に慎重判断)
  • 咬合(噛み合わせ)を段階的に誘導し、必要時は再設計(リファイン)

前歯だけ矯正の現実(要点)

歯質の調整(IPR)のリスク

前歯だけでスペースを作る場合、IPRが必要になることがあります。
一度削った歯質は戻らないため、量と部位の判断は慎重に行います。

歯根・骨への影響

角度だけで前方域を調整すると、歯根が骨の外に近づく・露出するなどのリスクが増える可能性があります。
CTなどで安全域を確認したうえで設計します。

全体設計の重要性

アーチ全体(臼歯域を含む)の設計が整っていないと、前方だけの調整は不安定になりやすい傾向があります。
当院ではインビザライン・コンプリヘンシブを基本に、全体のバランスを見据えた計画をご提案します。


当院のインビザライン症例が2018年、公式ギャラリー(Align Global Gallery)に掲載されました。
▶ 掲載症例を見る

掲載症例のサムネイル

2023〜2025年はインビザライン社のプラチナ エリートの表彰を受けました(症例数の区分による表記)。

プラチナエリートの表彰盾
こむら小児歯科・矯正歯科 | 大...
こむら小児歯科・矯正歯科|豊中市の小児矯正・大人インビザライン対応医院【土日診療・駐車場7台】大阪府... 大阪府豊中市のこむら小児歯科・矯正歯科。小児矯正は拡大床・マイオブレース・プレオルソ、大人はインビザライン専門。土日診療、桜塚高校東160m、駐車場7台完備。全症例...
投稿者アバター
こむら矯正歯科
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次