第一期治療が終わったあとの「第二期治療」。必要になる理由とは?
第一期治療(小児期の咬合誘導)が終わると、よくいただく質問があります。
「このあと、第二期治療は必要になりますか?」というものです。
第一期治療は、成長を活かして「噛み合わせの土台」をつくる工程です。
ここでどこまで整ったかによって、第二期治療が必要かどうか、また必要だとしてもどれくらい軽い設計で済むかが変わります。
01. 第一期治療では、何をしていたのか
第一期治療は、永久歯がすべて生えそろう前に行う「咬合誘導(こうごうゆうどう)」です。
咬合誘導とは、歯やあごが成長する方向を読み取り、将来の安定性が高くなるように導く診療です。
当院では、拡大床・プレオルソ・マイオブレースなどを、成長の力を利用しながら設計します。
昔は「下あごは拡がらない」「骨ごとの変化は起きない」と言われていましたが、現在は適切な設計と観察によって、自然な広がりが得られた症例も存在します。
第一期で扱うのは、あくまで「土台」です。
すべての永久歯の位置決めまでは行いません。
02. 第二期治療が必要になるケース
第二期治療が必要かどうかは、以下の要素で判断します。
● 永久歯が生えそろった後も、位置の最適化が必要な場合
第一期で土台が整っていても、永久歯は生える向き・大きさに個人差があります。
「理想的な噛み合わせ」まであと少しという状態であれば、第二期でInvisalign(コンプリヘンシブ)を使い、精密に位置を調整します。
● 噛む力や習慣による変化が起きた場合
歯は、噛む力や舌の動きの影響を受けて変化します。
成長期は特に変化が大きく、第一期後の観察で再調整が必要になることもあります。
● 顔貌バランスや骨格成長の経過が、想定よりも変化した場合
骨格の成長は個人差が大きく、成長スパートのタイミングや方向は予測しきれない部分があります。
そのため、成長を追いかけて設計を更新することが必要になる場合があります。
03. 第二期治療が不要になるケース
反対に、以下のように第二期が不要、または経過観察のみで十分な方もいます。
● 第一期で噛み合わせの基盤が十分に整った場合
成長と設計が適合し、永久歯が自然な位置に生えそろった場合、第二期は必要ありません。
● 軽微な調整のみで済む場合
部分的な調整だけで健康な機能が維持できると判断した場合は、第二期を行わずに済みます。
04. なぜ「第二期=Invisalign(コンプリヘンシブ)」なのか
成人矯正と同じく、第二期ではInvisalign(インビザライン・コンプリヘンシブ)を用います。
Lite・Goなどの簡易プランは使用しません。理由は明確です。
● 永久歯の位置決めには「全体を把握する設計」が必須
第二期は、一本単位ではなく「噛み合わせ全体」の完成度が重要です。
コンプリヘンシブは全体の動きを設計できるため、将来の安定性を最大限高められます。
● 成長変化を踏まえた再設計が可能
小児期の咬合誘導を経ているからこそ、第二期では「あとどこを整えるべきか」がより明確になります。
コンプリヘンシブはその再設計に最も適したプランです。