学校健診で歯並びを指摘されたら何をすべきか【2024年 新制度対応】
毎年行われる学校歯科健診では、むし歯だけでなく「歯並び」や「噛み合わせ」について指摘されるお子さまが増えています。
2024年6月からは、学校健診で歯列や咬合に関する指摘を受けた場合、矯正治療が必要かどうか判断するための相談・検査に健康保険が適用される新制度も始まりました。
この記事では、学校健診で指摘を受けたときにどのように行動すればよいかを、制度と医学的観点の両面からわかりやすく整理します。
まず確認すべきこと
学校健診の「歯列・咬合」は、通常次の区分で判定されます。
- 区分1: 要観察(経過をみる必要がある)
- 区分2: 異常あり(歯科医院での確認を推奨)
どちらの場合も、すぐに矯正治療が必要という意味ではありません。 必要なのは、まず現在の歯並びが治療の対象なのか、様子をみてよいのかを専門的に判断することです。
2024年スタートの新制度とは?
2024年6月から、学校歯科健診で歯並びや噛み合わせについて指摘を受けた場合、「矯正が必要かどうか判断するための相談・検査」に健康保険が適用される制度が始まりました。
この制度が適用される条件は次の通りです。
- 学校歯科健診で「歯列・咬合」に関する指摘を受けている(区分1・区分2)
- 学校からの健診結果通知書を歯科医院へ持参する
- 受診する歯科医院が保険医療機関である
保険でできること
- 初診相談
- レントゲンなどの検査
- 診断
- 結果説明・文書提供
重要:保険適用となるのは「診断まで」で、 矯正治療そのもの(装置を使った治療)は従来どおり、自費診療が原則です。
実際に矯正が必要かどうかは「診断」で決まります
学校健診は限られた時間での目視チェックであり、精密な診断ではありません。 そのため、以下のようなズレが起きることがあります。
- 学校健診では「異常あり」→ 精査すると問題なし
- 学校健診では見過ごされる → 精密検査で骨格的問題が見つかる
最終判断には、以下の点を専門的に評価する必要があります。
- 上下の顎の位置関係
- スペース不足の有無
- 噛み合わせの深さ・ズレ
- 永久歯の萌出予測
必要に応じてCTやセファロ分析を行うことで、噛み合わせや骨格バランスを客観的に把握することができます。
早めに相談したほうが良い歯並びの特徴
- 受け口(反対咬合)
- 前歯が閉じない(開咬)
- 歯が重なって生えている(叢生)
- 顎が左右にずれている
- 永久歯のスペース不足が明らか
これらは成長期に改善できる可能性が高い症例で、早期相談が有利です。
2024年新制度と一緒に知っておきたい「費用のしくみ」
小児矯正は原則自費ですが、費用負担を軽くできる制度があります。
- 医療費控除(治療目的の矯正は対象になる場合がある)
- 高額療養費制度(外科手術などの保険診療に適用)
- 院内分割・デンタルローン
特に医療費控除は多くのご家庭が利用できます。 補助金や保険適用の条件をわかりやすく整理したページはこちらです:
詳しい小児矯正の内容はこちら
こむら小児歯科・矯正歯科で行っている小児矯正の流れ・症例・治療の考え方は、以下のページで詳しく紹介しています。
まとめ:学校健診は「矯正が必要かどうか」を知る良いきっかけ
学校健診で歯並びを指摘されたとしても、それだけで治療が必要だと決まるわけではありません。
2024年からの新制度により、相談・検査に健康保険が使えるようになりました。 この制度を活用し、現在の状態を正しく把握することが大切です。
必要な治療内容・タイミングは、お子さまの成長段階によって異なります。 迷ったときは一度ご相談ください。