CT診断で安全な設計を行う理由|「動かせる範囲」を見誤らないために
マウスピース矯正は、弱い力で精密に歯を動かせる治療です。
しかしそれは、安全域の中で設計されている場合に限るという前提があります。
ティーン矯正でも、成長を利用できる一方で、
歯根と骨の位置関係を読み違えると、回復が難しい問題が起こることがあります。
その「安全域」を立体的に確認するための検査が、CT(3Dレントゲン)です。
CTで「何が見えるようになるのか」
通常のレントゲンや歯型データでは、
歯が骨の中にどの程度収まっているかまでは正確に分かりません。
CTを用いることで、次の点が立体的に確認できます。
- 歯根が骨の中に十分収まっているか
- 歯を動かした先に骨の厚みが残っているか
- 歯根同士がどれくらい接近しているか
- 動かせる限界ライン(安全域)がどこにあるか
つまりCTは、「ここまでなら安全」「ここから先は無理」を判断するための検査です。
歯と歯ぐきの情報だけでは足りない理由
マウスピース矯正では、歯の表面データ(スキャン)をもとに設計を行います。
しかし、この情報だけでは骨の厚みや歯根の位置は分かりません。
この状態で見た目だけを基準に設計すると、
「動いたように見えるが、実は骨から出ている」という事態が起こり得ます。
CTを使わずに起きやすい問題
① 歯根露出・歯ぐきの後退
歯を骨の外側へ動かしすぎると、歯ぐきが下がったり、歯根が露出することがあります。
一度起きると、矯正だけで元に戻すのは困難です。
② 見た目は整っても安定しない
骨の支えが弱い位置に歯を並べると、
治療後に後戻りしやすくなる傾向があります。
③ 再設計の余地がなくなる
安全域を超えて動かしてしまうと、
途中でズレが出ても「戻せる余地」が残っていません。
セファロとCTは役割が違う
よくある誤解として、「セファロがあるならCTはいらないのでは?」という考えがあります。
しかし、両者の役割は異なります。
役割の違い
- セファロ:成長方向・骨格バランス・全体設計を見る
- CT:歯根と骨の安全域を立体的に確認する
ティーン矯正では、
「どこへ導くか(セファロ)」と「どこまで動かせるか(CT)」の両方が必要になります。
当院がCTを重視する理由
当院では、無理な設計をしないことを最優先にしています。
「できることを増やす」よりも、「やってはいけないことを避ける」ためです。
CT診断は、
将来に問題を残さないためのブレーキとして使います。
まとめ|CTは「攻める検査」ではなく「守る検査」
CT診断は、歯をたくさん動かすための検査ではありません。
安全域を超えないために、設計を抑制する検査です。
ティーン矯正では、成長という不確定要素が加わります。
だからこそ、後戻りできる余白を残した設計が重要になります。
※CT検査の必要性は、症例の条件・成長段階により判断します。