Oral Form とは何か
― 咬合誘導の思想を、全年齢の治療へ ―
「矯正治療」と聞くと、多くの方は
歯をきれいに並べる治療を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、見た目は大切です。
しかし、当院が目指すのは単なる配列ではなく、
無理がなく、長期的に安定する歯並びを精密に、的確に整えることです。
歯は、
- あごの骨に支えられ
- 舌・唇・頬の筋肉から力を受け
- 噛み合わせや呼吸と連動しながら
現在の位置に保たれています。
当院では、このお口全体の構造そのものを
Oral Form(オーラル・フォーム)と呼んでいます。
Oral Form は「治療法」ではありません
Oral Form は、特定の装置や手技を指す言葉ではありません。
Oral Form とは、
- 歯の位置
- あごのバランス
- 噛み合わせ
- 舌・唇・頬の力
- 呼吸や飲み込みのクセ
これらが相互に関係しながら成立している
「口腔構造そのもの(状態・かたち)」を指す言葉です。
つまり Oral Form は名詞であり、
「何を対象として医療を考えるのか」を示す概念です。
咬合誘導とは何か
咬合誘導は、小児歯科で用いられてきた専門用語です。
咬合誘導とは、
- 成長期に
- 成長の力を利用し
- 将来、噛み合わせが破綻しないように
- 良好な Oral Form へ導く治療手法
重要なのは、咬合誘導は成長期(小児期)に限定して使われる言葉である点です。
成人には成長がないため、成人治療に同じ言葉を用いると意味のずれが生じます。
咬合誘導と Oral Form の関係
Oral Form
= お口全体の構造そのもの(状態)
咬合誘導
= 成長期に Oral Form を育てるための治療手法
両者は同義ではありません。
咬合誘導は、Oral Form を扱うための方法のひとつにすぎません。
Oral Form Therapy(Oral Form 治療)とは何か
当院が行う Oral Form Therapy は、
咬合誘導という手法を成人に当てはめるものではありません。
咬合誘導に含まれていた
「歯ではなく構造(Form)を起点に考える思想」
それを年齢に依存せず適用する
Oral Form Therapy は、Oral Form(口腔構造)を評価し、
設計し、整えていく医療行為の正式名称です。
一般的な矯正と Oral Form Therapy の違い
| 比較軸 | 一般的な矯正(審美偏重) | Oral Form Therapy(構造起点) |
|---|---|---|
| 設計の起点 | 前歯の見た目・角度 | 口腔構造の安全域 |
| 判断基準 | 平均値・Eライン | 個別の解剖学的条件 |
| 抜歯の考え方 | スペース確保のため優先検討 | 骨の拡大の可能性をまず探る |
| 治療の目的 | 歯を並べる | 安定する構造を整える |
「角度優先設計」が招きやすい3つのリスク
前歯の角度や見た目を先に固定し、そこへ逆算して動かす設計では、
口腔構造との整合性が崩れる場合があります。
- 固定源の消耗:反作用で奥歯が動き、意図しない変化が起こることがあります。
- 後戻り:舌・唇など筋肉の均衡点を外すと、治療後に不安定になりやすくなります。
- 安全域の逸脱:歯槽骨の厚みを超える移動は、歯根周囲のリスクにつながります。
だから当院は、角度ではなく「構造(Oral Form)」を起点に設計します。
Oral Form Therapy を支える設計の力
当院では、Oral Form Therapy を実現するためのツールとしてマウスピース型矯正装置を採用しています。
大切なのは装置そのものではなく、「どこを、どう導くか」という設計と観察の力にあります。
- 三次元的な事前設計による「骨の厚み」の考慮
- 歯槽骨の限界をミリ単位で見極める分析
- 不要な負担をかけない、精密な移動制御
Oral Form 精度設計チェックリスト
- CTデータに基づき、歯槽骨の厚みと限界を確認しているか
- 顎関節の適正な位置を考慮した三次元的な設計か
- 舌や口唇の筋肉の力が釣り合う「均衡点」を導き出しているか
- 無理がなく、長期的に安定する「成立するかたち」への設計か
まとめ
Oral Form:構造そのもの
咬合誘導:成長期の治療手法
Oral Form Therapy:構造起点の医療行為
無理がなく、自然で、長期的に安定する
「成立するかたち」を精密に設計すること。
Delicate. Natural.
調和のとれた歯並びを、精密に、的確に。
それが、こむら小児歯科・矯正歯科が提供する Oral Form Therapy です。