矯正後の「後戻り」はなぜ起こる?原因とリスク、防ぐための4つのポイント (上の親知らずを抜かなかった場合)


目次

後戻りってご存知ですか?

歯並びや噛み合わせの改善を目指して矯正治療を受けた患者さまの中には、「きれいになった歯並びが戻ってしまった」という“後戻り”に悩まされる方も少なくありません。
時間と費用をかけて手に入れた歯並びが元に近い状態に戻ってしまうのは、とても残念なことです。
今回は、矯正治療後に起こりうる「後戻り」やそのほかのリスクについて、原因と対策をわかりやすくまとめました。
矯正治療後も、美しい歯並びと噛み合わせを長く守っていくために、知っておいていただきたいポイントをご紹介します。

矯正後のリスクについて

矯正治療を終えたからといって、すべてが「完了」するわけではありません。治療後の期間には、後戻りをはじめとしたいくつかのリスクが潜んでいます。代表的なものを見ていきましょう。

【リスク1】矯正の後戻り

後戻りとは、矯正で並べ直した歯並びが、治療前の状態に近づいてしまう現象です。

主な原因
◎ 保定装置(リテーナー)の不使用・使用不足
矯正後の歯には、元の場所に戻ろうとする力が働いています。この力を抑えるためにリテーナーが必要ですが、装着時間が足りなかったり、途中でやめてしまったりすると、後戻りの大きな原因になります。

◎ 歯周組織(歯ぐきや骨)が安定する前に保定を中断
移動したばかりの歯は、歯ぐきや骨(歯槽骨)がまだ新しい位置に十分なじんでおらず、不安定です。十分な期間リテーナーを使わないと、歯が動きやすい状態のままになってしまいます。

◎ 舌癖や口呼吸などの日常の習慣
歯を舌で押す癖、口呼吸、頬杖などの習慣は、歯並びに少しずつ力を加えます。矯正後の歯にこうした力がかかり続けると、後戻りの原因になります。

【リスク2】虫歯・歯周病による歯の動揺

矯正後も毎日のケアを油断すると、虫歯や歯周病によって歯や歯ぐきの健康が損なわれることがあります。

主な原因
◎ ブラッシング不足による虫歯
装置が外れると「一安心」してしまい、磨き残しが増えることがあります。虫歯で歯の形が変わると、噛み合わせや歯並びにも影響する可能性があります。

◎ 歯周病による歯ぐきの退縮や骨の吸収
歯周病は歯を支える骨を少しずつ溶かしてしまいます。支えが弱くなると、せっかく並んだ歯が揺れたり動いたりしやすくなります。

【リスク3】噛み合わせの不安定化

矯正治療は見た目だけでなく、「噛み合わせ」も大切なゴールです。

主な原因
◎ 治療設計や終了時の微調整が不十分
上下の噛み合わせがきちんと整理されていないまま治療を終えると、普段の食事や会話の力で歯に偏った負担がかかり、少しずつ歯が動いてしまう場合があります。

◎ 親知らずの萌出による圧力
後から生えてくる親知らずが、奥歯を手前に押すことで前歯まで影響が出ることがあります。結果として、前歯のガタつきや出っ歯のような状態が出てくることがあります。

どうして後戻りしちゃうの?

そもそも、なぜ後戻りしてしまうのでしょうか。
矯正治療で歯の位置を変えるときには、まず歯を支えている骨が少しずつ吸収されて歯が動き、その後、新しい位置のまわりに骨が作り直されていきます。これは大人も子どもも同じです。

ただし、特に大人の場合は、もともとの歯の位置に合わせて、筋肉や唇・頬・舌、歯ぐきや骨のバランスができあがっています。
歯ぐきや骨が新しい位置に十分なじむまでには時間がかかるため、その間は「元の場所に戻ろうとする力」がどうしても働きます。

これが後戻りの大きな原因です。

矯正治療が終了したばかりの歯の根の周囲の骨は、まだ弱くて不安定な状態です。そのため、普段よりもずっと歯が動きやすくなっています。この時期に、以前と同じような噛み癖や舌癖、強い食いしばりなどが続くと、歯が少しずつずれてしまうことがあります。

せっかく長期間頑張って手に入れた歯並びが戻ってしまうのは嫌ですよね。そこで活躍するのが、後戻り防止のための装置「リテーナー」です。

成人の方や舌の癖、口呼吸などがある方は、リテーナーを長期的に使用した方が安心です。

後戻りのリスクを防ぐ4つのポイント

【方法1】リテーナーの正しい使用を徹底する

リテーナー(保定装置)は、後戻りを防ぐために最も重要なアイテムです。

ポイント
◎ 決められた装着時間を守る
矯正終了直後は、1日20時間以上の装着が必要になることもあり、「夜だけ」では足りない場合があります。自己判断せず、歯科医師の指示に従いましょう。

◎ 破損や変形に注意する
リテーナーが変形していたり合わなくなっていたりすると、思ったような保定効果が得られません。違和感や痛みを感じた場合は、そのまま使い続けずに早めにご相談ください。

◎ 使用期間を自分で決めてやめない
「もう大丈夫かな」と自己判断でリテーナーをやめてしまうと、後戻りのリスクが一気に高くなります。終了のタイミングは必ず歯科医師と相談して決めることが大切です。

【方法2】生活習慣を見直す

日常の癖や習慣が、歯並びに思った以上の影響を与えることがあります。

改善したい癖の一例
◎ 舌で前歯を押す癖(舌癖)
舌が無意識に前歯を押していると、前歯が少しずつ前に出てきてしまうことがあります。MFT(口腔筋機能療法)などで、舌の使い方をトレーニングすることも有効です。

◎ 口呼吸
いつも口が開いている状態だと、唇や頬・舌のバランスが崩れ、歯並びにも影響が出ます。鼻詰まりがある場合は、耳鼻科で相談することも大切です。

◎ 頬杖・うつ伏せ寝・横向き寝
片側だけに長時間力がかかる習慣は、歯並びや顎のバランスを乱す原因になります。

【方法3】定期的なメンテナンスを受ける

治療後も定期的に通院し、歯並びと噛み合わせの状態をチェックしてもらうことが大切です。

定期チェックのメリット
◎ 後戻りの「兆し」を早期に発見できる
ご自身では気づきにくい小さな変化も、専門家が見ると早めに対応できます。

◎ リテーナーの状態を確認・調整できる
リテーナーが合っているか、ゆるくなっていないかなどを定期的に確認し、必要に応じて調整・再製作を行います。

◎ 虫歯や歯周病の早期発見につながる
歯や歯ぐきの健康が保たれていることが、歯並びを安定させるための大切な土台になります。

【方法4】親知らずの管理を行う

親知らずが歯列に悪影響を与える前に、レントゲンで向きや位置を確認し、ときには抜歯も含めて検討していくことが大切です。

◎ 横向きや斜めに生えている親知らずは要注意
奥歯を前方に押す力がかかり、前歯のガタつきにつながることがあります。
◎ 成長期のお子さまの場合
発育の状況を見ながら、タイミングを見て判断していきます。

適切な時期に親知らず(前から8番目の歯)を抜歯することが(特に小臼歯を抜かなかったケースでは)必要です

ここからは、親知らずと後戻りの関係について、実際のケースをもとにお話しします。以下の方はマウスピース矯正ではなく、ワイヤー矯正を行ったケースです。
矯正装置を外した後は、半年間リテーナーを昼夜、その後半年は夜のみ使用されていましたが、その1年後にはリテーナーをやめてしまわれました。

最初

↓上の親知らず(写真の矢印の歯)が下に降りてきたら、数年後に抜歯しましょうということで、年に一回くらいのペースで来院されていました。

2年後

下の写真↓は二年後です。親知らずがかなり降りてきました。この時点では、すでにリテーナーは使用されていませんでした。

4年後

↓さらに二年後です。この頃には「あと1年くらいしたら抜歯しましょう」とお話ししていました。
リテーナーは入れていませんでしたが、奥歯までしっかり動かす全体矯正を行っていたので、この時点では歯並びは良い状態をキープできていました。

9年後

そこからさらに5年後に来院されました。↓ 上の親知らずが大きく下降して7番目の歯に食い込むようになり、奥から前へとドミノ倒しのように歯が押され、前歯まで傾いてしまいました。

このようなケースでは、親知らずを抜歯したあとに、再度全体的な矯正が必要になることが多いです。

お顔が大きい方は別として、通常の小臼歯非抜歯で矯正を行ったケースでは、親知らず4本を適切な時期に抜かないと、このような残念な結果につながってしまうことがあります。

上の写真は、まさにそのような結果になってしまった例です。

こうならないためには、遅くとも下のレントゲン写真くらいのタイミングで上の親知らずを抜歯しておくことが大切だと考えています。

↓別の方の写真です。このタイミングで上の一番奥の歯を抜いておくのが良いと思います。

保定装置(リテーナー)を装着して、後戻り防止を

歯が後戻りを起こさないように、保定期間中はリテーナーという、動いた歯並びを定着させる装置を装着します。
「矯正は終わったのに、また装置をつけるの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、上でご紹介したような状態にならないためにも、保定装置をきちんと装着することはとても大切です。
保定装置にはワイヤー状のものや、透明に近いマウスピース型のものまで、いくつか種類があります。

下の写真は上顎用のリテーナーです。(当院では今はあまり使わなくなってきました)

歯ぎしりや歯の食いしばり癖など、口や舌、あごの動きの習慣も、歯並びに影響を与えると言われています。

下の写真は下顎用のリテーナーです。
こういった従来型のリテーナーは歯に「点」で接触して、少し遊びがあるため、ワイヤー矯正が全盛だった時代は、歯が微妙に動きながら安定した位置に落ち着くことを期待して使用していました。

しかし、今は

インビザラインで非常に精密に咬合を計画できるようになりましたので、遊びの多い従来型のリテーナーではなく、保持力の高いマウスピース型のビベラリテーナーを用いるようになりました。

リテーナーはいつまで使うの?

リテーナーを使用する期間は、骨が新しい位置でしっかり固まり、歯ぐきの線維の緊張が落ち着くまで必要です。
個人差はありますが、目安としては少なくとも2年程度を考えておくとよいでしょう。それ以降も、ケースによっては長期的な使用をおすすめすることがあります。

一例としては、
矯正後1年目 → できるだけ一日中(食事と歯みがき以外)
矯正後2年目以降 → 夜間の就寝時のみ
といったように、段階的に装着時間を減らしていくことが多いです。
ご希望があれば、「ずっと夜だけリテーナーを使い続ける」という選択肢もあります。

後戻りが起こりやすい人の特徴

では、どのような方に後戻りのリスクが高いのでしょうか。いくつか代表的なパターンをご紹介します。

◎ 部分矯正のみを行ったケース
部分矯正は「動かせる範囲」と「動かせない範囲」がはっきりしています。見えている部分だけを動かすと、全体のバランスが崩れやすく、後戻りの原因になることがあります。

◎ 保定装置(リテーナー)の使用が十分でなかったケース
リテーナーの装着をさぼってしまったり、指示より早くやめてしまったりすると、歯は少しずつ元の位置へ戻ろうとします。
矯正治療は、「歯を動かす期間」と「歯を固定・安定させる期間」の2つがそろって初めて完了です。

◎ 舌癖・口呼吸・頬杖などの悪習癖が残っているケース
舌で前歯を押す、いつも口が開いている、うつ伏せや横向きで長時間寝る、片側だけで噛むなどの癖は、歯並びにじわじわと影響します。
特に舌癖が残っていると、矯正後に前歯の間に隙間があいたり、前歯が前に出てきたりすることがあります。

◎ 親知らずが残っているケース
親知らずが後から生えてきて、他の歯を押すことで歯列全体に影響することがあります。矯正前後でレントゲンを撮り、必要であれば抜歯も含めて計画的に対応していくことが大切です。

戻ってしまった歯並びは自力で治せるの?

「少し戻ってきた気がするから、自分で押して戻したらいいのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、自力で歯並びを動かそうとすることはおすすめできません

確かに、歯は弱い力を長時間かければ動きます。しかし、力の方向や強さを誤ると、
・歯の寿命を縮めてしまう
・噛み合わせがかえって悪くなる
・歯根が短くなってしまう
などのリスクがあります。気になる変化があれば、自己判断せずに矯正歯科に相談してください。

後戻りしてしまった場合の治療の選択肢

後戻りの程度や原因によって、治療方法は変わります。代表的な選択肢としては、次のようなものがあります。

◎ ダイレクトボンディング・ラミネートベニア・セラミッククラウン
見た目の改善を目的に、歯の表面を修復する方法です。ただし、歯を削る必要があるため、慎重な検討が必要です。

◎ ワイヤー矯正・マウスピース矯正(インビザラインなど)
歯を削らずに歯並びそのものを整えていく方法です。
「どの方法が合うか」は、歯の状態・噛み合わせ・年齢・ご希望によって異なりますので、一度ご相談いただくのが安心です。

後戻りの確率について

特に、保定装置を適切に使わない場合、矯正後に歯が後戻りする確率は非常に高く、ほぼ「起こる」と考えていただいた方が安全です。
それだけ、リテーナーと生活習慣の見直しが、矯正後の歯並びを守るうえで大切ということです。

まとめ

矯正治療は、「歯を動かす期間」が終わったら終わり、ではありません。その後の保定期間や、生活習慣の見直し、定期的なメンテナンスまで含めて、ひとつの治療だと考えることが大切です。

後戻りや虫歯、噛み合わせの不具合といったリスクを正しく理解し、
・リテーナーの正しい使用
・舌癖や口呼吸などの生活習慣の改善
・定期メンテナンスの継続
・親知らずの適切な管理
といった対策をとることで、矯正の効果を長く維持することができます。

患者さまご自身の意識と、歯科医院によるサポートが合わさってはじめて、美しい歯並びと健康的な噛み合わせは守られます。
矯正治療後も気を抜かず、一緒に大切な歯を守っていきましょう。

後戻りのリスクや、保定期間の過ごし方は、年齢やこれまでの治療歴によっても少しずつ違ってきます。
「自分や子どもの場合はどんな進め方が合っているのか知りたい」という方は、年齢別のページもあわせてご覧ください。

小学生向けインビザライン(Invisalign First)についてはこちら▶

中高生向けインビザライン(Invisalign Teen)についてはこちら▶

大人の方のインビザライン矯正(後戻りや再治療を検討されている方へ)はこちら▶


こむら小児歯科・矯正歯科でインビザライン・システムによる歯並び治療を行ったケースが2018年にインビザライン公式サイト:Align Global Galleryに#591番、Dr T. Komuraとして世界で591番目、大阪府では3番目に掲載されました▶

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