神経を取った歯が多い方の安全な矯正設計|治療の順序と注意点

神経を取った歯の矯正で大切なこと
神経を取った歯(失活歯)は、神経のある歯(生活歯)と比べて、以下のような特徴があります:
- 歯が脆くなっている
- 感覚がないため、問題に気づきにくい
- 変色していることが多い
- 根の治療が不完全な場合がある
- 被せものがしてあることが多い
なぜ治療の順序が重要なのか
神経を取った歯が多い方の場合、まず根の状態を確認し、必要な治療を完了してから矯正を始めることが非常に重要です。
⚠️ 矯正中に根の治療が必要になると…
- マウスピースが合わなくなる
- 治療計画の変更が必要になる
- 治療期間が大幅に延びる
- 追加費用が発生する可能性がある
- 最悪の場合、矯正を一時中断する必要がある
推奨される治療の順序
神経を取った歯が多い方の治療フロー
STEP 1: 精密検査
- CTレントゲンで根の状態を三次元的に確認
- 根の先に病巣(感染)がないかチェック
- 歯根の長さと形状を確認
- 被せものの状態を評価
STEP 2: 歯の根の治療(必要な場合)
- 根の先に病巣がある場合は、まず根の治療(再根管治療)
- 当院では対応できない難しいケースは、専門医をご紹介
- 治療後、症状が落ち着くまで経過観察
STEP 3: 仮歯の装着
- 被せものを新しくする場合、まず仮歯を装着
- 仮歯で矯正治療を進める
- 仮歯なら、矯正中に調整が可能
STEP 4: 矯正治療
- 根の状態が安定してから矯正開始
- 神経を取った歯は慎重に、弱い力で動かす
- 定期的に根の状態をチェック
STEP 5: 最終的な被せもの
- 矯正が終わってから、最終的な被せものを作製
- 歯の位置が確定してから被せるので、精度が高い
- 色や形も矯正後の歯並びに合わせて調整可能
神経を取った歯の矯正での注意点
1. 動かす力の調整
神経を取った歯は脆いため、通常よりも弱い力で、ゆっくりと動かします。
急いで動かすと、歯根が折れるリスクがあります。
2. 定期的なチェック
矯正中も定期的にCTやレントゲンで根の状態を確認します。
問題が見つかった場合は、すぐに対応します。
3. 動かせる距離の制限
神経のある歯と比べて、動かせる距離が制限されることがあります。
無理に動かすと、歯根吸収(根が短くなる)のリスクが高まります。
4. 被せものの調整
矯正中に被せものが合わなくなることがあるため、仮歯で対応します。
最終的な被せものは、矯正終了後に作製します。
専門医との連携

当院の連携体制
神経を取った歯が多い方の場合、治療内容に応じて、それぞれのエキスパートの歯科医をご紹介しています。
● 根管治療専門医
難しい根の治療が必要な場合、マイクロスコープを使った精密根管治療の専門医をご紹介します。
● 補綴(被せもの)専門医
審美性の高い被せものが必要な場合、補綴専門医と連携します。
● 歯周病専門医
歯周病が進行している場合、まず歯周病治療を優先します。
症例:神経を取った歯を含む矯正治療
治療の流れ
- 初診時のCT検査で、上顎前歯3本に根の病巣を確認
- 専門医で根管治療を実施(約2ヶ月)
- 仮歯を装着し、症状が安定するまで経過観察(約1ヶ月)
- インビザライン矯正を開始
- 約2年で矯正完了
- 最終的なセラミッククラウンを装着
事前に根の治療を完了していたため、矯正中にトラブルなく進めることができました。
費用について
治療費の考え方
神経を取った歯が多い場合、矯正費用以外に、根の治療費や被せものの費用が別途必要になります。
費用の目安
- 矯正治療費:684,000円〜(税別)
- 根管治療(1歯):50,000〜150,000円(専門医の場合、保険適用外)
- 仮歯(1歯):10,000〜30,000円
- 最終的な被せもの(1歯):80,000〜150,000円(セラミックの場合)
よくある質問
Q1. 神経を取った歯は矯正できないのですか?
A. いいえ、矯正可能です。ただし、根の状態が良好であることが条件です。事前に精密検査を行い、必要な治療を完了してから矯正を始めます。
Q2. 矯正中に根の治療はできますか?
A. 技術的には可能ですが、マウスピースが合わなくなるため、治療計画の変更が必要になります。できる限り、矯正前に根の治療を完了することをお勧めします。
Q3. 被せものをしたまま矯正できますか?
A. 可能ですが、被せものが古い場合や、矯正後に色や形を変えたい場合は、仮歯に置き換えてから矯正することをお勧めします。
Q4. 神経を取った歯が折れることはありますか?
A. 適切な力で動かせば、リスクは低いです。ただし、神経を取った歯は脆いため、強い力をかけると折れる可能性があります。当院では、CTで根の状態を確認しながら、慎重に動かします。
まとめ
- 神経を取った歯が多い場合、治療の順序が非常に重要
- まず根の状態を精密に検査し、必要な治療を完了する
- 仮歯で矯正を進め、最後に最終的な被せものを作製
- 神経を取った歯は、弱い力でゆっくり動かす
- 専門医との連携で、安全で確実な治療を実現
- 矯正費用以外に、根の治療費や被せものの費用が必要