矯正で変えられる部分・変えられない部分を知る|骨格を理解した治療計画

はじめに
矯正治療を検討される際、「どこまで変えられるのか」「何が変えられないのか」を理解することは非常に重要です。
この記事では、骨格の特徴を尊重しながら、その方らしい自然な歯並びを目指す当院の考え方をご説明します。
人間の横顔は3つのタイプに分かれます
ドリコ(長顔型)
- 顔が縦に長い
- 顎が細く、面長な印象
- ガミースマイルになりやすい傾向
- 前歯が出やすい骨格
メジオ(中間型)
- バランスの取れた顔型
- 標準的な骨格パターン
- 矯正治療の選択肢が多い
- 予測しやすい治療結果
ブレーキー(短顔型)
- 顔が横に広く、短い
- エラが張った印象
- 咬む力が強い傾向
- 歯が動きにくいことがある
横顔のタイプは変えられる?
⚠️ ワイヤー矯正でもマウスピース治療でも横顔のタイプを変えることはできません。
ご自身がどのタイプであるかはセファロレントゲンを撮らないとわかりません。
たとえば、ドリコ(長顔型)の方をブレーキー(短顔型)に変えることはできません。
長顔型の方がガミースマイル気味になったり、短顔型の方がエラが張った印象になったりするのは、骨格の特徴としてごく自然なことです。
私たちは、そうした持って生まれた個性を尊重しながら治療を進めています。
「すべての人を同じ基準に合わせる」のではなく、その方らしい自然な顔貌や噛み合わせを大切にすることこそ、本当に安心できる矯正治療だと考えています。
横顔のタイプで治療の難易度が異なります
横顔のタイプで治療の難易度や、最適なその方の本来の歯並びは異なります。
ドリコタイプ(長顔型)の注意点
たとえば、ドリコタイプ(長顔型)の方がEライン(E-LINE)にこだわりすぎると、前歯が骨の外に飛び出してしまう危険性があります。
歯は「どこにでも動かしてよい」ものではなく、顎の形には生理的な限界があるのです。
私たちが大切にしているのは、「見た目を変える」ことよりも、その方にとって自然な配置かどうかという視点です。
「口ゴボ」は本当に異常なのか?

例えば、上下の前歯が前に出ている「口ゴボ」と呼ばれる状態も、骨格や筋肉の使い方によっては、その方にとって自然なバランスである可能性があります。
だからこそ、見た目だけで判断せず、呼吸・発音・咬み合わせなどの機能を含めて、本来の骨格や成長の流れを尊重した設計を行っています。
セファロ分析で骨格を正確に把握

セファロ分析で分かること
- 顔のタイプ(ドリコ・メジオ・ブレーキー)
- 上顎と下顎の前後的な位置関係
- 顎の成長方向
- 前歯の角度と位置
- 顔面の垂直的なバランス
- 軟組織(唇や鼻)との関係
矯正で変えられること
✓ 変えられること
- 歯の位置(骨の中で動かせる範囲内)
- 歯の角度
- 歯並びの凸凹
- 噛み合わせの高さ(ある程度)
- 歯列の幅(成長期であれば)
- 前歯の前後的な位置(安全域の範囲内)
✗ 変えられないこと
- 骨格の基本的なタイプ(ドリコ・メジオ・ブレーキー)
- 上顎と下顎の骨格的な大きさ
- 顔の長さ(垂直的な骨格)
- エラの張り具合(骨格的なもの)
- 鼻の形や大きさ
- 唇の厚さ(歯の位置変化による影響はあり)
当院の治療方針
個性を大切にする矯正
1. セファロ分析による正確な診断
まず、患者様の骨格タイプを正確に把握します。これにより、現実的で安全な治療ゴールを設定できます。
2. CT診断で安全域を確認
歯根と骨の位置関係を三次元的に確認し、歯を安全に動かせる範囲を見極めます。
3. 機能を重視した設計
見た目だけでなく、呼吸・発音・咬合力など、機能面も含めた総合的な設計を行います。
4. その方らしい自然な仕上がり
骨格の特徴を尊重し、無理のない範囲で、その方にとって最も自然で調和のとれた歯並びを目指します。
症例:骨格を考慮した治療例

よくある質問
Q1. Eライン(E-LINE)を基準にした治療はできませんか?
A. Eラインは一つの美的基準ですが、骨格タイプによっては、Eラインを追求することが安全でない場合があります。特にドリコタイプの方は、前歯を下げすぎると骨から飛び出してしまう危険性があります。当院では、安全性と機能を最優先に考えています。
Q2. ガミースマイルは治せますか?
A. ガミースマイルの原因によります。歯の位置が原因であれば、矯正治療で改善できる可能性があります。しかし、骨格的にドリコタイプ(長顔型)の方の場合、完全に改善するのは難しいこともあります。まずは診断で原因を特定することが重要です。
Q3. エラの張りは矯正で治せますか?
A. エラの張りが骨格的なもの(ブレーキータイプ)である場合、矯正治療では変えられません。ただし、咬筋(噛む筋肉)が発達してエラが張って見える場合は、噛み合わせを改善することで、ある程度の変化が期待できる場合もあります。
まとめ
- 人間の横顔は3つのタイプ(ドリコ・メジオ・ブレーキー)に分かれる
- このタイプは矯正治療では変えられない
- セファロ分析で骨格を正確に把握することが重要
- 骨格の特徴を尊重した治療計画が安全で安定した結果につながる
- 見た目だけでなく、機能面も含めた総合的な診断が必要