矯正治療の期間は、計画より延びることがあります

矯正治療の期間延長 ― 計画と現実の差を示す静物

率直にお伝えします。矯正治療の期間は、最初にお伝えした見通しから延びることが、しばしばあります。

「2年で終わると言われたのに2年半かかった」「あと3ヶ月と聞いていたのに半年になった」というご質問をいただくことは、決して珍しくありません。なぜそうなるか、当院でお伝えしている代表的な理由を順に書きます。

(1) 想定より歯の動きがゆっくりだったとき

歯の動き方には個人差があります。同じ年齢、同じ装置、同じ歯並びでも、動きやすい方とゆっくりな方がいらっしゃいます。CT・セファログラムでは見えない、歯の周りの組織や骨の個人差です。計画より遅いと判明した時点で設計をやり直し(リファインメント)、追加のアライナーで仕上げます。その分、期間は延びます。

(2) アライナーの装着時間が足りないとき

インビザラインは1日22時間以上の装着が必要です。20時間でも、18時間でも、効率は急に落ちます。「ご飯のあと入れ忘れていた」が積み重なると、計画通りの力がかかりません。一週間や二週間では表面化しませんが、半年単位で見ると、はっきりと治療期間に跳ね返ります。

(3) アタッチメントが取れたとき

アタッチメントは、歯の表面に貼っている小さなレジンの突起で、アライナーが力を伝える「取っ手」です。これが取れると、その歯への力がかからなくなります。気づかれずに何ヶ月か経つと、その歯だけ治療が止まったままになります。当院では検診のたびに必ず確認していますが、検診の間隔があくと、その分のロスは出ます。

(4) 細部の追い込みが残ったとき

全体の歯並びがおおむね整っても、最後の数本がもう少しずれていることがあります。当院は「とりあえず終わり」にしません。設計を作り直し、追加のアライナーで仕上げます。これが、「あと3ヶ月」が「あと半年」になる代表的な場面のひとつです。

(5) 通院の間隔があきすぎたとき

矯正治療は、医師による定期的なチェックを前提に組まれています。お仕事・ご出張・引越しなどでご来院の間隔があくと、計画と実態のずれを早期に修正できません。あいた分は、後で取り戻すのに時間がかかります。

(6) 並行する歯科治療が必要になったとき

親知らずの抜歯、虫歯治療、被せ物・差し歯などの治療が、矯正の途中で必要になることがあります。これらは矯正の動きと連動するため、終わるまで矯正の一部を止めるか、ペースを調整します。


「もうすぐ終わります」とお伝えしていたのがご期待にそえない結果になってしまうのは、当院としても心苦しい部分です。けれども、目標に届いていない状態で「終了」と申し上げることはできません。

当院は、節目ごとに進捗を正直にお伝えし、計画とのずれが出た場合は早めにご相談するようにしています。期間が延びうる事情を、治療開始時にこのようにお伝えするのも、その一環です。

ご質問はいつでもどうぞ。

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