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なぜコンプリヘンシブで治療を行うことが良心的なのか?
コンプリヘンシブで治療を行うことは、費用の問題ではなく、「患者の将来に誤りを残さない姿勢」です。
以下では、医学的・倫理的・設計的の3つの観点からその理由を説明します。
① 医学的な理由:診断の自由度と再設計の保証
インビザライン・コンプリヘンシブは、追加アライナーを無制限に発注できる唯一のパッケージです。これは「途中で終わらせず、最後まで理想に近づける権利」を患者さんが持てるということです。
- 治療中に想定外の歯の動きや咬合ズレが生じても、何度でも再設計が可能
- 成長や咬合変化、骨格的な制約にも柔軟に対応できる
- 軽度〜重度、前歯〜奥歯まで全顎的なコントロールが可能
一方、ライト・モデレート・エクスプレスなどの簡易プランは、
「枚数・追加回数・期間」に制限があるため、途中で誤差が生じても修正できず、未完成のまま“終了”せざるを得ないことがあります。
② 倫理的な理由:誤診・誤治療を防ぐ「設計の余裕」
矯正治療は「診断の精度」がすべてです。
初期相談時に「簡単そう」「部分的に動かそう」という印象でパッケージを選ぶと、途中で正しい治療計画に戻せなくなります。
つまり、制限のあるパッケージを選んだ瞬間に「将来的な修正の権利」を放棄してしまうことになります。
医療者として誠実であるためには、次の2点が欠かせません。
- 最初から「必要な範囲を治す自由」を残すこと
- 後戻りや再設計に責任を持てる契約形態をとること
これが本来の「良心的な治療方針」です。
③ 設計的な理由:咬合・骨格・美的調和を犠牲にしない
矯正治療の本質は、見た目を整えることではなく、かみ合わせ・骨格バランス・筋肉・顔貌調和を含めた「全体設計」です。
- 奥歯を含めて歯列全体を立体的に設計できる
- 歯の軸傾斜・回転・トルク・圧下・挺出まで再現可能
- 口元の自然さ・発音・咀嚼機能・長期安定性に優れる
つまり、「整って見える」だけでなく「本当に健康で機能的な咬合」を実現できるのがコンプリヘンシブです。
④ 総括:患者の未来のための選択
ライトやモデレートは「期間」や「価格」の面で魅力的に見えますが、実際には医療者側のリスク回避型プランです。
コンプリヘンシブは「どんな結果になっても最後まで責任を持つ」という約束の形です。
最初からコンプリヘンシブで設計することは、患者さんにとって最も誠実で良心的な選択です。
