小児矯正はいつ終わるのか ― 当院が「完成」と呼ぶ状態

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「いつ終わりますか」というご質問に、最初にお伝えしたいこと

お子さまの矯正で、最も多くいただくご質問の一つが「いつ終わりますか」です。

このご質問にお答えするには、まず当院が考える「完成」の意味からご説明する必要があります。

当院では、永久歯が生え揃い、奥歯を含めた噛み合わせと、成長したあとの上下のあごの関係を確認して、追加の治療が必要かどうかを判断できた状態を、完成と考えています。

装置が外れた日が、完成の日ではありません。装置を外したあとも、お子さまの成長と永久歯への生え替わりは続きます。ですから当院では、いつ装置が外れるかではなく、何が整えば完成なのかを大切にしています。

親知らずについては、抜歯がすべて終わっていることを、完成の条件のひとつと考えています。矯正治療で歯並びを整える方の多くは、いちばん奥に親知らずが並ぶ余裕が残りにくく、手前の歯や噛み合わせを守るために抜歯が必要になります。永久歯が生え揃ってきた段階で、位置や生える方向を確認して対応します。

歯を動かしている期間と、完成の時期は違います

装置を使って歯並びや噛み合わせに働きかける期間、つまり歯を動かしている期間は、前期治療の場合、多くは7歳ごろに始めて約2年が一つの目安です。

ただし、これはあくまで目安です。お子さまの成長や生え替わり、使用する装置、治療の目的によって長さは変わります。そして何より大切なのは、装置を使っている期間は、完成の時期ではない、ということです。

誤解されやすい点ですが、このページで最もお伝えしたいのはここです。

なぜ、装置を外しただけでは完成と言えないのか

前歯がきれいに並んでも、まだ確認できていないことがあります。

  • 12歳臼歯が予定どおり噛み合うか
  • 犬歯や小臼歯が、正しい位置へ生えてくるか
  • 成長によって、上下のあごの関係が変わらないか
  • 親知らずがどの位置にあり、将来どのような対応が必要か

こうしたことは、装置を外したあとに分かることも少なくありません。ですから、歯を動かし終わっただけでは、治療の目的を達成できたかどうかを、まだ判断できません。

装置が外れた日は、一つの区切りではありますが、完成ではありません。

当院では、何をもって完成と判断しているのか

年齢や治療期間だけで完成を判断することはありません。次の五つを確認したうえで判断しています。

  • 永久歯が、予定した位置に生え揃っていること
  • 12歳臼歯まで含めた噛み合わせが整っていること
  • 成長したあとの上下のあごの関係が、許容できる範囲にあること
  • 追加の治療が必要かどうかを判断できていること
  • 親知らずの抜歯がすべて終わっていること

完成とは、一定の期間が過ぎたことではなく、必要な確認が終わったことです。

条件があらかじめ分かっていれば、いま何が整っていて、あと何を確認すれば完成なのかも、そのつどご説明できます。

装置によって、区切りをつける理由は異なります

歯を動かしている期間に区切りをつける理由は、装置によって異なります。

マウスピース型の装置には、装置を作製できる期間が定められているものがあります。その場合は、その期間が一つの区切りになります。

一方、従来型の装置には、期間による制限はありません。治療上必要であれば、生え替わりや成長を見ながら、年数だけを理由に区切らず、装置を使う期間を続けることがあります。

これは装置の仕組みの違いであり、優劣ではありません。どちらを使用した場合でも、歯を動かし終わった時点が完成ではないことは共通しています。

装置ごとの詳しい違いは、小学生のインビザライン矯正のページでご説明しています。

「前期治療だけで終えたい」というご希望について

「できれば前期治療だけで終えたい」というご希望は、よくいただきます。当院も、その可能性を考えながら治療計画を立てています。

しかし、前期治療だけで足りたかどうかは、区切りがついた時点ではまだ分かりません。生え替わりが予定どおり進み、12歳臼歯まで噛み合い、成長したあとの上下のあごの関係を確認し、追加の治療が必要かどうかを判断して、はじめて「前期治療だけで足りた」と言えます。

つまり、前期治療だけで終えるためには、区切りのあとも確認が必要だということです。順序が逆に見えるかもしれませんが、そういう関係です。

ただし、はじめの検査である程度見通せることもあります。たとえば一本一本の歯が大きい場合は、あごの成長だけでは並べきれず、仕上げの治療が必要になることが多くなります。そうした見込みがある場合には、最初にその可能性をお伝えします。

親知らずについて

小臼歯を抜かずに歯列を整える方針を選ぶ場合、親知らずへの対応が必要になることがあります。

いちばん奥に、親知らずが生えるための余裕が十分に残らないことがあるためです。位置や生える方向によっては、手前の歯や周囲に影響することがあります。小臼歯を抜かない選択をするために、あとから対応が必要になる歯がある、という関係です。

位置や生える方向は、レントゲンなどで確認します。矯正治療が必要になるような歯並びの方では、親知らずが並ぶ余裕は残りにくく、抜歯が必要になる方が多くいらっしゃいます。

当院では、親知らずの抜歯がすべて終わっていることを、完成の条件のひとつとしています。処置の時期や、どこでお受けになるかは状態によって異なり、他院へご紹介する場合もあります。費用については、必要性が分かった段階であらためてご説明します。

受け口では、完成を判断する時期が変わります

受け口では、下あごの成長が高校生年代まで続くことがあります。そのため、歯並びが整って見えていても、その後の成長で上下のあごの関係が変わる可能性があります。

当院では、背の伸びが落ち着くまで完成を判断しません。これは使用する装置とは関係ありません。成長の確認が必要だからです。

通院の際に、身長や最近の成長についてお伺いすることがあります。ご家庭で背を測って記録しておいていただけると、判断の助けになります。伸びが落ち着く時期には個人差があり、一般に男の子のほうが遅い傾向があります。

成長に合わせて、何を見て、何を判断しているのか

乳歯列期(3〜5歳ごろ)

見ること:前歯の噛み合わせ、上下のあごのずれ、指しゃぶりや口で呼吸する癖、噛むときに下あごが横へずれていないか。

判断すること:この時期に対応するか、経過を見るか。多くの場合は経過を見ますが、前歯が反対に噛んでいる場合や、噛むときに下あごが横へずれる場合には、早めの対応を検討します。

前歯の交換期(6〜7歳ごろ)

見ること:生え替わった前歯の噛み合わせ、前歯が並ぶ幅、上下の歯の中心、奥歯の噛み合わせ。

判断すること:前期治療を始めるか、奥の歯が生え替わるまで待つか。始める場合は、何を目的に、どの装置を使うかを決めます。最初の大きな分かれ道です。

奥歯の交換前期(8〜9歳ごろ)

見ること:永久歯が並ぶ場所の過不足、乳歯と永久歯の大きさの差から生まれる余地、上あごの横幅、永久歯が生える方向。

判断すること:上あごの幅を整えるか、生え替わりで生まれる余地を活かすか、もう少し経過を見るか。

奥歯の交換期(9〜11歳ごろ)

見ること:生え替わる順序の乱れ、犬歯が本来と違う方向へ向かっていないか、背が伸び始める時期の兆し。

判断すること:成長を利用する治療を行うなら、この時期に方法と開始時期を決めます。治療を進める期間を続けるか、一度区切るかも、ここで検討します。

永久歯列が揃うころ(11〜13歳ごろ)

見ること:12歳臼歯の生え方、永久歯が予定した位置におさまっているか、成長による上下のあごの変化、仕上げとして残っている問題。

判断すること:歯を動かす期間に区切りをつけるか、引き続き対応するか、仕上げの段階へ進むか。装置の区切りと完成は別のものです。

完成の確認へ(高校生年代)

見ること:12歳臼歯まで含めた噛み合わせ、永久歯の位置、歯並びの安定、背の伸びが落ち着いたか、下あごの成長が残っていないか、親知らずの位置と影響。

判断すること:親知らずの抜歯を含めた対応と、追加の治療が必要かどうか。これらを確認したうえで、完成を判定します。受け口など成長が長く残る場合には、この年代を過ぎてから判断することもあります。

完成が遅くなることがある場合

完成の時期には個人差があります。たとえば次のような場合には、確認の時期が後ろになることがあります。

  • 受け口など、背の伸びが落ち着くまで判断できない場合
  • そのほか骨格の要素が大きく、成長したあとの状態を確認する必要がある場合
  • 永久歯の生えるのが遅い、生まれつき本数が足りない、余分な歯がある場合
  • 取り外しの装置やマウスピース型の装置を、決めた時間使用できなかった場合
  • 口で呼吸する癖や舌の癖が残っている場合
  • 背が伸びる時期が想定と異なった場合

これは失敗ではありません。成長を確認しているからです。

なお、前期治療の期間が長くなることと、完成の確認が遅くなることは、同じ意味ではありません。装置を使う期間が予定どおりでも、そのあとの生え替わりを待つために、確認の時期が後ろにずれることがあります。

先にお伝えしておくのは、あとから理由を説明するためではありません。この可能性を含んだうえで、始めるかどうかを考えていただきたいからです。

区切りのあと、経過観察で見守っていること

歯を動かし終わったあとも、整えた歯並びが後戻りしないよう見守る、経過観察の期間が続きます。

当院では、特に奥歯の位置が前へ動かないことを大切に考えています。小臼歯を抜かずに歯列を整えた場合、奥歯が前へ寄ってしまうと、せっかく確保した場所が失われるからです。とくに、あとから生えてくる親知らずが奥歯を前へ押すと、せっかく整えた歯並びの後戻りにつながることがあります。ですから、奥歯の位置が保たれているかを、いちばん奥の親知らずへの対応が終わるまで、しっかり見届けます。

さきほどの親知らずの話とつながっています。小臼歯を抜かない選択をするために奥歯の位置を保ち、その位置を守るために親知らずへの対応が必要になることがある、という関係です。

経過の状態は、定期検診の際にあわせて拝見します。矯正上の詳しい診察や検査、追加の処置が必要になった場合は、その内容と費用を事前にご説明します。

区切りのあとも、完成のための確認は続きます

歯を動かし終わったあとは、歯を動かしていたころと同じ間隔で通い続けていただくわけではありません。通常の歯科検診でお越しいただいた際に、次のことを確認します。

  • 永久歯の生え替わり
  • 奥歯の噛み合わせ
  • あごの成長
  • 歯並びの安定
  • 親知らずの状態

これらは、検診のついでに見ているのではありません。完成を判断するために必要な経過として記録しています。

完成は、ある一日の状態だけでは判断できません。成長の経過を確認して、はじめて判断できます。そのため、長い期間確認できなかった場合や、ほかの歯科医院で管理されるようになった場合には、当院で完成を判断できないことがあります。

通常の歯科検診とは別に、矯正上の詳しい診察や記録、レントゲン撮影などが必要になった場合は、その内容と費用を事前にご説明します。

早く終わることを、目標にはしていません

早く装置を外すことだけを目標にはしていません。

待つべき時期は待ち、動かすべき時期に動かし、成長を見るべき時期は見守る。それが、お子さまの成長を活かした治療だと考えています。

通院のたびに、いまどの段階なのか、次に何を確認するのか、完成まであと何が必要なのかをお伝えします。

費用の考え方

当院は、そのつどお支払いいただく形をとっています。全期間分をはじめにまとめてお預かりすることはしていません。

歯を動かすために費用が発生する期間と、完成を確認する期間は、同じではありません。費用は次の三つに分けてお考えください。

  • 前期治療の費用(装置を使い、歯を動かしている期間の費用)
  • 必要になった場合の、仕上げの治療の費用
  • 区切り後の受診や検査などの費用

前期治療に区切りがついたあと、完成を確認する高校生年代まで矯正装置の費用が発生し続ける、という意味ではありません。また、前期治療の期間が予定より長くなったことだけを理由に、同じ装置の費用が自動的に継続する仕組みでもありません。

新たな装置の作製や、仕上げの治療、矯正上の詳しい診察や検査が必要になった場合は、その内容と費用を事前にご説明します。

詳しくは費用のページをご覧ください。

お子さまが今どの段階にいるのか、一緒に確認しませんか

いま始めるべきか、もう少し待ってよいのか、前期治療だけで足りる可能性があるのか。診察と検査のうえで、現在の状態と今後の見通しをご説明します。

小児矯正は、装置を外した日が終わりではありません。永久歯が生え揃い、成長したあとの噛み合わせまで確認し、追加の治療が必要かどうかを判断できて、はじめて完成です。当院では、その日まで見届けることを、小児矯正の大切な役割の一つだと考えています。

お子さまの矯正のご相談・ご予約

気になる点だけでも、お気軽にどうぞ

本記事は一般的な説明であり、個別の診断ではありません。実際の治療方法や期間、費用は、お口の状態や成長段階によって異なります。診察・検査のうえでご説明します。

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