治した歯並びを、どう守り続けるか ― 保定の考え方

矯正は歯を動かし終わって終わりではありません。動かした歯は、周囲の骨や歯ぐきの線維がまだ新しい配置になじみ切っていないため、外力がなくても元の位置へ戻ろうとします。保定(リテンション)は「おまけの期間」ではなく、動かした結果を体に定着させる能動的な治療局面です。ここを丁寧に行うかどうかが、その後数年〜十数年の安定を実質的に決めます。

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手段を一つに決めず、いちばん安定する方法を選ぶ

手段を一つに決めず ― 3 種類のリテーナーと歯列模型

私たちは保定や仕上げの場面でワイヤーを使うこともあります。ワイヤーは目的に応じて選ぶ選択肢のひとつで、マウスピース型で進めた方にも、必要と判断すれば部分的に併用します。手段を先に固定するのではなく、その方の歯がいちばん安定する方法を、戻りやすい方向から逆算して選びます。

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舌の癖が残っている間は、保定装置を外しません

舌で前歯を押す癖があると、歯を並べたあとも同じ方向へ力がかかり続けます。力そのものは弱くても、毎日繰り返しかかるため、装置がなければ歯はその力に沿って動いていきます。そのため当院では、舌の癖が残っている間は、保定装置の使用を続けていただいています。「もう並んだから外してよい」ではなく、押す力が落ち着くまで守る、という考え方です。

当院では、癖そのものへの取り組みとして、舌のトレーニングも行っています。装置で守りながら、押す力そのものを少しずつ減らしていくことを目指します。

どこまで続けるかは一律ではありません。使用する時間を短くしていける方もいますし、しばらく夜間だけ続ける方もいます。来院時に、歯の位置と癖の残り方を見ながらお伝えします。

保定後の通院は、安定の度合いを見ながら

保定後の通院は安定の度合いを見ながら ― 受付シーン

通院回数を一律に決めるより、安定の度合いを見て間隔を調整します。順調なら間隔をひろげ、戻りの兆しがあれば早めに対応する。必要な処置を、必要な分だけ。長く付き合う前提で設計します。通院間隔は歯の動きや生活によって変わるため、目安は診察のなかでお伝えします。

保定装置の使用をやめる時期(治療の完了)

当院では、歯を動かす治療を終えた時点を「区切り」、噛み合わせが整った時点を「完成」、保定装置の使用をやめる時点を「完了」と呼んでいます。完了の時期は一律ではありません。舌の癖が残っている場合は、完成のあとも保定装置を続けていただき、力の向きが落ち着いたことを確認してから完了とします。

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本記事は一般的な説明であり、個別の診断ではありません。実際の判断は来院・検査が前提です。

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