「どれだけ早く終わるか」ではなく、「どれだけ成長を生かせるか」

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「矯正」ではなく「咬合誘導」。 成長を生かして、自然に噛み合わせを育てるという考え方

「○歳までに終わる矯正」や「1年半で完了」など、期間を区切った文章を目にすることが増えました。
ですが、子どもの治療は「どれだけ早く終わるか」ではなく、「どれだけ成長を生かせるか」が大切です。

子どもの成長は、一人ひとり違います

骨や歯の育つスピード、あごの広がり方、歯の生え変わりの時期──すべてお子さんごとに異なります。 早い子もいれば、ゆっくりな子もいます。それが自然なことです。

だからこそ、年齢や期間で一律に区切ってしまうと、 本来の成長の力を、治療に生かしきれないまま終えてしまうことがあります。

第一期治療を終えてしばらく経つと、「第二期治療をするほどではないけれど、もう少しだけ整えたい」というケースもあります。

そうした場合には、第一期治療を延長して行うこともあります。

矯正は「第一期で終わり」「第二期に進む」といったように、いつもきれいに線を引けるものではありません。

お子さんの成長のペースや、歯の生え方、顎の発達には個人差があります。

この“あいだ”の判断こそ、経験のある先生でなければ見極められない部分なのです。

成長期は一度きり。 その大切な時期を、できるだけ無駄にしたくないと私たちは考えています。

「咬合誘導」という、小児歯科の原点

「咬合誘導」は、小児歯科が昔から大切にしてきた考え方です。 歯を無理に動かすのではなく、成長の力を使って自然に噛み合わせを整えていく方法です。

ただ、矯正専門の分野では「歯をきれいに並べる」ことが中心になるため、 この“成長を見守る”という時間のかかるアプローチは、あまり重視されないこともあります。

でも、咬合誘導は「矯正のための準備」ではありません。 成長そのものを支える、立派な医療です。

私たちは、子どもの成長を「待つ力」も、治療の大切な一部だと考えています。 焦らず、お子さんのペースで──。 それが、咬合誘導の本質です。

「次の治療ありき」ではなく、成長に合わせた判断を

小児矯正には「第一期治療」と「第二期治療」の2段階があります。 一部では、第一期でしっかり整ってしまうと次の治療につながりにくい──そんな事情もあるようです。

しかし本来の目的は、次の治療を前提にすることではなく、成長の力を最大限に活かすこと。 当院では、第一期治療で噛み合わせが安定した場合、無理に第二期治療をお勧めすることはありません。

どうしても第二期治療(本格矯正)が必要な場合には、 丁寧にご説明し、 ご本人・保護者の方が納得されたときにのみ、次の段階へ進みます。

焦らず、お子さんに合ったペースで

咬合誘導は、競争でもスピード勝負でもありません。 「何歳までに終わるか」より、「お子さんの体に合ったタイミングで進めること」。 それが、本当に安心できる成長の支え方だと、私たちは考えています。


まとめ ✓ 矯正ではなく、成長を活かす「咬合誘導」が基本 ✓ 子どもの成長スピードは一人ひとり違う ✓ 期間で区切るより、成長の力を治療に生かすことが大切 ✓ 第一期で安定すれば、無理に第二期治療は勧めない ✓ 必要な場合のみ、ご相談と同意のうえで第二期治療へ ✓ 「早く終わる」より、「正しく育つ」を大切に

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こむら矯正歯科
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